技術士第二次試験(総合技術監理部門を除く技術部門)の筆記試験は、必須科目Ⅰと選択科目Ⅱ・Ⅲの3つで構成されます。配点は合計100点、内訳はⅠが40点、Ⅱが30点、Ⅲが30点です。そして合否決定基準は「それぞれ60%以上の得点」。合計点ではなく、科目ごとに基準を満たす必要があります。

この記事では、令和8年度の受験申込み案内に載っている試験科目表・試験内容・合否決定基準を、原文の記載に沿って整理します。

筆記試験の科目構成と配点

総合技術監理部門を除く技術部門の筆記試験は次のとおりです(令和8年7月20日実施)。

試験科目試験内容配点解答時間
Ⅰ 必須科目「技術部門」全般にわたる専門知識、応用能力、問題解決能力及び課題遂行能力に関するもの/記述式 600字×3枚40点2時間(10:00〜12:00)
Ⅱ 選択科目「選択科目」についての専門知識及び応用能力に関するもの/記述式 600字×3枚30点3時間30分(13:00〜16:30)
Ⅲ 選択科目「選択科目」についての問題解決能力及び課題遂行能力に関するもの/記述式 600字×3枚30点同上

答案用紙はA4片面刷で、24字×25行=600字が1枚です。午後のⅡとⅢは合わせて3時間30分で、Ⅱ(3枚)とⅢ(3枚)の計6枚を書くことになります。時間配分は受験者に委ねられている、という点は押さえておく必要があります。

出題数と解答数、そして「Ⅱは2つに分かれている」こと

配点表だけを見るとⅡは30点の1かたまりに見えますが、試験内容の詳細ページではⅡが2つに分割されています。

区分内容分量配点出題数・解答数
Ⅰ 必須科目「技術部門」全般にわたる専門知識、応用能力、問題解決能力及び課題遂行能力600字×3枚40点2問出題 1問選択解答
Ⅱ-1「選択科目」についての専門知識600字×1枚10点4問出題 1問選択解答
Ⅱ-2「選択科目」についての応用能力600字×2枚20点2問出題 1問選択解答
Ⅲ 選択科目「選択科目」についての問題解決能力及び課題遂行能力600字×3枚30点2問出題 1問選択解答

なお、公式資料での表記はⅡ選択科目の下に「1.」「2.」と並ぶ形です。この記事では区別のためⅡ-1・Ⅱ-2と表記しています。

つまり午後は、4問から1問を選んで1枚(Ⅱ-1)、2問から1問を選んで2枚(Ⅱ-2)、2問から1問を選んで3枚(Ⅲ)という構成です。すべての区分が「複数問出題・1問選択解答」であり、どの問題を選ぶかという判断そのものが試験の一部になっています。

なお、合否決定基準は選択科目については「専門知識及び応用能力に関するもの」と「問題解決能力及び課題遂行能力に関するもの」をまとめて60%以上とされています。Ⅱ-1とⅡ-2が個別に60%を要求されるわけではない、という読み方になります。

科目ごとに評価項目(コンピテンシー)が違う

受験申込み案内は、試験科目ごとに「評価項目」として、技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)のどの項目で採点するかを明示しています。これが科目構成の中で最も見落とされやすい部分です。

試験科目評価項目(コンピテンシーのうち)
Ⅰ 必須科目専門的学識、問題解決、評価、技術者倫理、コミュニケーション
Ⅱ-1(専門知識)専門的学識、コミュニケーション
Ⅱ-2(応用能力)専門的学識、マネジメント、リーダーシップ、コミュニケーション
Ⅲ 選択科目専門的学識、問題解決、評価、コミュニケーション

読み取れることは3つあります。

  1. 技術者倫理が評価項目に入るのはⅠだけ。必須科目では、技術的な解決策だけでなく倫理的な観点からの記述が採点対象になります。
  2. マネジメント・リーダーシップが入るのはⅡ-2だけ。応用能力の問題で「業務遂行手順」や「関係者との調整」が問われるのは、この評価項目に対応しています。
  3. コミュニケーションは全科目に入っている。ここでいうコミュニケーションは、コンピテンシーの定義では「明確かつ包摂的な意思疎通を図り、協働すること」であり、筆記試験では答案が読み手に明確に伝わるかどうかとして働きます。

出題内容の定義もそれぞれ異なります。たとえばⅠは「現代社会が抱えている様々な問題について、『技術部門』全般に関わる基礎的なエンジニアリング問題としての観点から、多面的に技術課題を抽出して、その解決方法を提示し遂行していくための提案を問う」とされ、Ⅱ-2は「与えられた条件に合わせて、専門知識や実務経験に基づいて業務遂行手順が説明でき、業務上で留意すべき点や工夫を要する点等についての認識があるかどうかを問う」とされています。同じ600字でも、求められている書き方が違うということです。

Ⅱ・Ⅲの出題範囲を決める選択科目については建設部門の選択科目11科目一覧を参照してください。

合否決定基準(令和8年1月19日、文部科学省公表)

受験申込み案内には、文部科学省が公表した合否決定基準がそのまま掲載されています。総合技術監理部門を除く技術部門の場合は次のとおりです。

筆記試験

試験科目問題の種類等合否決定基準
必須科目「技術部門」全般にわたる専門知識、応用能力、問題解決能力及び課題遂行能力に関するもの60%以上の得点
選択科目「選択科目」についての専門知識及び応用能力に関するもの/「選択科目」についての問題解決能力及び課題遂行能力に関するもの60%以上の得点

口頭試験

試問事項合否決定基準
技術士としての実務能力:マネジメント、評価60%以上の得点
技術士としての実務能力:コミュニケーション、リーダーシップ60%以上の得点
技術士としての取組姿勢:技術者倫理60%以上の得点
技術士としての取組姿勢:継続研さん60%以上の得点

筆記も口頭も、すべての区分で60%以上が必要です。どこか1つで基準を下回れば、他がどれだけ高くても合格にはなりません。口頭試験の4項目については口頭試験の試問事項と配点で詳しく扱います。

採点に関して公式が明言していること

受験申込み案内には、採点についてはっきり書かれている一文があります。筆記試験の合格発表の項では「採点結果の内容(答案用紙の開示を含む)に関する問合せには、一切応じません」、最終合格発表の項でも「採点結果の内容に関する問合せには、一切応じません」とされています。

一方で、受験者には合否を問わず成績が通知されます。筆記試験については欠席者を除く受験者に合否及び成績が郵便で通知され、口頭試験についても受験者に合否及び成績が通知されます。つまり自分の得点区分は通知されるが、採点の中身は開示されないという構造です。

このため、「この答案なら何点」という予測を外部が正確に示すことはできません。対策として現実的なのは、公式に開示されている科目ごとの評価項目と出題内容の定義に、自分の答案が対応しているかを確認していくことです。

まとめ

筆記試験の後、合格発表から口頭試験までの流れは筆記試験合格発表から口頭試験までの準備スケジュールにまとめています。