技術士第二次試験の口頭試験は、筆記試験に合格した人だけが受ける最後の関門です。ここで問われる内容と配点は、受験申込み案内にすべて書かれています。まずは公式の原文を確認するところから始めます。

口頭試験は「何を判定する試験」なのか

受験申込み案内には、口頭試験の性格が次のように書かれています。

技術士としての適格性を判定することに主眼をおき、筆記試験における記述式問題の答案及び業務経歴を踏まえ実施するものとし、次の内容について試問します。(中略)試問内容については、「技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)」に基づく以下を試問します。なお、業務経歴等の内容を確認することがありますが、試問の意図を考え簡潔明瞭にご回答ください。

ここから読み取れることは3つあります。

  1. 目的は「適格性の判定」であり、専門知識の量を測り直す試験ではないこと
  2. 材料は「筆記試験の答案」と「業務経歴」であること。つまり試験官の手元にあるのは、あなたが提出した受験申込書と、7月に自分で書いた答案です
  3. 「簡潔明瞭に」という要求が公式に明記されていること

3つ目は軽く読み飛ばされがちですが、案内本文に書かれている以上、答え方そのものが評価対象に含まれていると考えるのが自然です。

試問事項と配点(総合技術監理部門を除く技術部門)

Ⅰ 技術士としての実務能力

Ⅱ 技術士としての取組姿勢

試問時間は「20分(10分程度延長の場合もあり)」と明記されています。合計100点を20分で問われる計算です。

なお総合技術監理部門は試問事項が異なり、必須科目に対応して「経歴及び応用能力(60点)」「体系的専門知識(40点)」が問われます。本記事は総合技術監理部門を除く技術部門を前提としています。

「各項目60%以上」が意味すること

合否決定基準は、令和8年1月19日に文部科学省が公表したものが案内に掲載されています。口頭試験については、4つの試問事項それぞれに「60%以上の得点」と定められています。

つまり合格ラインは総合点ではありません。計算すると、30点の項目は18点、20点の項目は12点が必要です。3項目で満点を取っても、1項目が59%なら不合格になります。

この構造から、準備の優先順位が決まります。得意な項目を伸ばしても他項目の不足を埋め合わせられないため、4項目のうち最も準備が薄い項目から手を付けるのが合理的です。技術者倫理と継続研さんは配点20点ずつ、2項目で40点と軽く見えますが、落とせば即不合格という意味では30点の項目と同じ重みを持ちます。

各項目で何を聞かれるかは、口頭試験「マネジメント、評価」で聞かれる質問と答え方の型(令和8年度対応)以降の記事で個別に扱います。

令和8年度からコンピテンシー改訂版が適用される

案内には、令和5年1月25日の文部科学省科学技術・学術審議会技術士分科会で「技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)」が改訂され、令和8年度の第二次試験より改訂後のものに基づいて実施されると書かれています。

同時に「なお、筆記試験及び口頭試験の試験内容についての変更はありません」とも明記されています。これはコンピテンシー改訂に伴う変更がないという意味で、配点(30/30/20/20)・試問時間・各項目60%以上という合否決定基準は従来どおりです。ただし試問事項の表記そのものは令和8年度に変わっており、区分Ⅱの名称が「技術士としての適格性」から「技術士としての取組姿勢」に、Ⅰの①②の順序が入れ替わっています(令和7年度までは①がコミュニケーション、リーダーシップでした)。ただし試問内容は「技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)」に基づくと案内に書かれているため、答える言葉づかいの基準は改訂後の定義に移ります。何が変わったのかは令和8年度から適用のコンピテンシー改訂— 何が変わったか(4項目)で整理します。

日程・会場と、知っておくべき制約

令和8年度の口頭試験は、令和8年12月上旬から令和9年1月中旬にかけて実施されます。試験地は東京都のみで、日時と会場は筆記試験の合格通知・成績通知と併せて郵送で通知されます。

案内には「試験の日時・会場」について、日時の指定・変更は一切できない旨が明記されています。通知が届いてから当日までの期間は人によって大きく異なるため、筆記試験の手応えにかかわらず、合格発表前から準備を始めておくのが現実的です。

もう1点、案内には「筆記試験に合格しても、口頭試験で欠席・不合格の場合は、次回以降の技術士第二次試験では筆記試験から受験することになります」と書かれています。筆記合格の権利は翌年に持ち越せません。詳しい日程の流れは口頭試験の日程・通知・当日の流れ(令和8年度: 12月上旬〜1月中旬)にまとめています。

準備の起点は「提出済みの受験申込書」

口頭試験が「業務経歴を踏まえ実施する」と定められている以上、試験官が最初に読むのは受験申込書の業務経歴と、720字の「業務内容の詳細」です。ここに書いた内容が、そのまま質問の出発点になります。

したがって口頭試験対策とは、新しい知識を仕入れることではなく、自分が提出した書類を4つの試問事項の言葉に翻訳し直す作業です。冒頭でほぼ必ず求められる経歴説明の組み立て方は、冒頭「経歴と業務内容を3分で」— 構成テンプレと時間配分を参照してください。