口頭試験の試問事項①「マネジメント、評価」は配点30点、合否決定基準は60%以上の得点です。計算すると18点。ここを落とすと他の項目が満点でも不合格になります。

この項目が難しいのは、日常語の「マネジメント」と、試験で問われる「マネジメント」がずれているからです。まず公式の定義を確認します。

公式の定義を読む

受験申込み案内に掲載された「技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)」では、2つの語がそれぞれ次のように定義されています。

マネジメント

業務の計画・実行・検証・是正(変更)等の過程において,品質,コスト,納期及び生産性とリスク対応に関する要求事項,又は成果物(製品,システム,施設,プロジェクト,サービス等)に係る要求事項の特性(必要性,機能性,技術的実現性,安全性,経済性等)を満たすことを目的として,人員・設備・金銭・情報等の資源を配分すること。

出典: 令和8年度 技術士第二次試験 受験申込み案内(日本技術士会)

評価

業務遂行上の各段階における結果,最終的に得られる成果やその波及効果を評価し,次段階や別の業務の改善に資すること。

出典: 令和8年度 技術士第二次試験 受験申込み案内(日本技術士会)

この定義から、押さえるべき点が読み取れます。

なお、この2語はコンピテンシー改訂の前後で文言が変わっていません。改訂前の資料で準備していた人も、この項目については読み替えは不要です。

実際に問われる質問の型

口頭試験は「筆記試験における記述式問題の答案及び業務経歴を踏まえ実施する」と案内に明記されています。したがってこの項目の質問は、受験申込書に書いた業務内容の詳細を材料に組み立てられます。典型的な形は次のとおりです。

冒頭の経歴説明は、指定される時間が1分から5分まで幅があります。時間指定を聞き逃さないこと、指定より長く話さないことが前提条件です。組み立て方は冒頭経歴と業務内容を3分で— 構成テンプレと時間配分にまとめました。

答え方の型: 資源配分を主語にする

マネジメントの質問でよくある失敗は、技術的な工夫の説明に終始することです。たとえば、新しい工法を採用して品質を確保した、という説明は専門的学識や問題解決の話であって、マネジメントの定義には触れていません。

定義に沿うなら、答えの骨格はこうなります。

  1. 満たすべき要求事項は何だったか(品質・コスト・納期・生産性・リスクのどれが競合したか)
  2. その制約の下で、人員・設備・金銭・情報のどれをどう配分したか
  3. なぜその配分にしたのか(トレードオフの判断根拠)

たとえば納期と品質が競合した場面なら、どちらを優先したかではなく、限られた人員と工期をどこに厚く割り当て、その判断を何を基準に下したかを語ります。技術的な正しさではなく、資源が有限であることを前提にした判断の筋道が問われている、と考えると外しにくくなります。

答え方の型: 評価は「次」で締める

評価の質問は、成果の数値を答えて終わりにしがちですが、定義は「次段階や別の業務の改善に資すること」までを含みます。答えの骨格は次のとおりです。

  1. どんな指標・方法で結果を確認したか(測定・検証の手段)
  2. その結果をどう解釈したか(目標に対して十分だったか、不足はどこか)
  3. その学びを次のどの業務・どの段階に、どう反映したか

3が抜けると、定義の後半に一切答えていないことになります。逆に3さえ語れれば、成果そのものが劇的でなくても評価の能力は示せます。

なお、失敗した業務についての質問も同じ構造で答えられます。失敗そのものよりそこから何を変えたかが評価の対象だからです。この系統は「失敗例」「部下のミス」— 評価・指導を問う質問への備えで扱います。

準備は受験申込書の書き方から始まっている

試問の材料が業務経歴と業務内容の詳細である以上、この項目の答えやすさは受験申込書を書いた時点でほぼ決まっています。720字の中に、立場と役割、そして技術的な判断の根拠が書かれていれば、口頭試験ではそれを展開するだけで済みます。

逆に、技術的内容の説明だけで720字を使い切った申込書だと、マネジメントの質問に対して申込書の外から材料を持ってこなければなりません。書く段階で何を残すべきかは、業務内容の詳細(720字)の構成: 目的・立場と役割・技術的内容及び課題・技術的成果を参照してください。

各項目の配点と合否決定基準の全体像は、技術士第二次試験 口頭試験の試問事項と配点(令和8年度)にまとめています。