技術士第二次試験の建設部門には、選択科目が11科目あります。受験申込書では技術部門(建設部門)と選択科目、そして「専門とする事項」を記入しますが、このうち選択科目は申込書を提出した後に変更できません。筆記試験のⅡ・Ⅲはこの選択科目から出題され、口頭試験も申込書の記載を踏まえて実施されるため、最初の選択がその後すべてに効いてきます。
この記事では、受験申込み案内に掲載されている公式の「選択科目の内容」の原文をそのまま一覧にします。予備校や個人ブログの要約ではなく、公式に書かれている範囲を最初に押さえるための記事です。
建設部門の選択科目11科目と、公式に定義された内容
受験申込み案内の「技術士第二次試験の技術部門・選択科目表」には、各選択科目について「〜に関する事項」という形で内容が定義されています。建設部門の11科目は次のとおりです。
| 選択科目 | 選択科目の内容(受験申込み案内の記載) |
|---|---|
| 土質及び基礎 | 土質調査並びに地盤、土構造、基礎及び山留めの計画、設計、施工及び維持管理に関する事項 |
| 鋼構造及びコンクリート | 鋼構造、コンクリート構造及び複合構造の計画、設計、施工及び維持管理並びに鋼、コンクリートその他の建設材料に関する事項 |
| 都市及び地方計画 | 国土計画、都市計画(土地利用、都市交通施設、公園緑地及び市街地整備を含む。)、地域計画その他の都市及び地方計画に関する事項 |
| 河川、砂防及び海岸・海洋 | 治水・利水計画、治水・利水施設及び河川構造物の調査、設計、施工及び維持管理、河川情報、砂防その他の河川に関する事項/地すべり防止に関する事項/海岸保全計画、海岸施設・海岸及び海洋構造物の調査、設計、施工及び維持管理その他の海岸・海洋に関する事項/総合的な土砂管理に関する事項 |
| 港湾及び空港 | 港湾計画、港湾施設・港湾構造物の調査、設計、施工及び維持管理その他の港湾に関する事項/空港計画、空港施設・空港構造物の調査、設計、施工及び維持管理その他の空港に関する事項 |
| 電力土木 | 電源開発計画、電源開発施設、取放水及び水路構造物その他の電力土木に関する事項 |
| 道路 | 道路計画、道路施設・道路構造物の調査、設計、施工及び維持管理・更新、道路情報その他の道路に関する事項 |
| 鉄道 | 新幹線鉄道、普通鉄道、特殊鉄道等における計画、施設、構造物その他の鉄道に関する事項 |
| トンネル | トンネル、トンネル施設及び地中構造物の計画、調査、設計、施工及び維持管理・更新、トンネル工法その他のトンネルに関する事項 |
| 施工計画、施工設備及び積算 | 施工計画、施工管理、維持管理・更新、施工設備・機械・建設ICTその他の施工に関する事項/積算及び建設マネジメントに関する事項 |
| 建設環境 | 建設事業における自然環境及び生活環境の保全及び創出並びに環境影響評価に関する事項 |
一覧から読み取れる3つの特徴
1. 多くの科目が「計画・設計・施工・維持管理」の全ライフサイクルを含む
土質及び基礎、鋼構造及びコンクリート、港湾及び空港、道路、トンネルなどは、いずれも計画から維持管理までを一続きで定義しています。つまり「自分は設計しかやっていない」「施工管理しか経験がない」というだけで科目から外れるわけではありません。逆に言えば、出題側は同じ科目の中で設計寄りの問題も維持管理寄りの問題も出せる、ということです。
2. 「維持管理・更新」と書かれている科目がある
道路・トンネル・施工計画の3科目は「維持管理**・更新**」と、更新まで明記されています。他の科目は「維持管理」までの記載です。既存インフラの更新をテーマにした論文を書く場合、この語がどの科目に入っているかは押さえておく価値があります。
3. 内容の記述量に差がある
河川、砂防及び海岸・海洋は4つの事項(河川・地すべり防止・海岸海洋・総合的な土砂管理)に分けて定義され、港湾及び空港は港湾と空港の2つ、施工計画、施工設備及び積算は施工と積算・建設マネジメントの2つに分かれています。1つの科目名の中に、実務上はかなり離れた領域が同居しているケースがあるということです。
「選択科目」と「専門とする事項」は別のもの
受験申込書には、選択科目とは別に「専門とする事項」を記入する欄があります。この2つは階層が違います。
- 選択科目:上の表の11個から1つを選ぶ。試験科目そのものを決める。
- 専門とする事項:選択科目の中で、自分が専門としている具体的な領域を自分の言葉で記入する。
そして受験申込み案内の記入要領は、業務内容の詳細について「受験申込書に記入した『専門とする事項』を踏まえ」て記入するよう求めています。つまり、選択科目 → 専門とする事項 → 業務内容の詳細(720字)は、上から下へ一貫していなければならない構造です。この整合の取り方は「専門とする事項」の決め方と業務内容との整合で扱います。
選択科目は試験のどこに効くか
選択科目の影響範囲は、筆記試験のⅡ・Ⅲにとどまりません。
- 筆記試験Ⅱ(30点):「選択科目」についての専門知識及び応用能力
- 筆記試験Ⅲ(30点):「選択科目」についての問題解決能力及び課題遂行能力
- 筆記試験Ⅰ(40点):こちらは「技術部門」全般(=建設部門全体)が対象で、選択科目には縛られません
- 口頭試験:試問事項は全部門共通ですが、試問は「筆記試験における記述式問題の答案及び業務経歴を踏まえ実施する」と明記されています。申込書に書いた選択科目・専門とする事項・業務内容が、そのまま口頭の材料になります
配点と出題数の全体像は技術士第二次試験の科目構成と配点・合否決定基準に整理しています。
選ぶときに公式資料だけで確認できること
科目選びについて、受験申込み案内から確実に言えるのは次の点です。
- 選択科目の内容の定義に、自分の業務が入っているか:上の表の文言に、自分が「業務内容の詳細」に書こうとしている業務が素直に収まるかどうかを確認します。無理に寄せると、口頭試験で「なぜこの科目なのか」を説明しづらくなります。
- 申込後に変更できない:受験申込み案内は、受験申込書の提出後は申込内容の変更が一切できないとしています。締切間際に決めるのではなく、業務内容の詳細を書きながら決めるのが安全です。
- 合格率は科目別には公表されていない:日本技術士会が受験申込み案内に載せているのは技術部門別の数字までで、建設部門の中の科目別合格率は掲載されていません。「この科目が受かりやすい」という情報は公式資料からは確認できないため、判断材料にすべきではありません。部門別の実数は技術士第二次試験の合格率データにまとめています。
まとめ
- 建設部門の選択科目は11科目。それぞれ「〜に関する事項」という形で公式に内容が定義されている
- 多くの科目が計画・設計・施工・維持管理を通しで含み、道路・トンネル・施工計画は「更新」も明記されている
- 選択科目 → 専門とする事項 → 業務内容の詳細(720字)は一貫している必要がある
- 選択科目は筆記Ⅱ・Ⅲを決めるだけでなく、申込書経由で口頭試験の材料にもなる
- 科目別の合格率は公表されていない。選ぶ基準は「自分の業務が公式の定義に収まるか」
科目を決めたら、次は業務内容の詳細をどう組み立てるかです。720字の構成は業務内容の詳細(720字)の構成で扱います。