業務内容の詳細を書き終えて字数を数えると、たいてい720字を超えています。ここで問題になるのが「どう数えるのか」と「どこから削るのか」です。前者は記入要領に明記があり、後者は書かれていません。原文で決まっている部分と、自分で判断する部分を切り分けます。
原文が定めているのは3つだけ
令和8年度の受験申込み案内、記入要領の「⑤ 業務内容の詳細」に、次の一文があります。
720字以内(図表は不可。半角文字も1字とする。)で、簡潔にわかりやすく整理して枠内に記入する。
ここから確定するのは次の3点です。
- 720字以内であること
- 図表は使えないこと
- 半角文字も1字として数えること
逆に言えば、原文が定めているのはこれだけです。段落の切り方、見出しの立て方、改行の回数について指定はありません。
「半角文字も1字」が意味すること
全角文字も半角文字も、同じく1字として数えます。半角にしたからといって0.5字にはなりません。
- CO2 は3字
- 3.5m は4字
- 1,200m3 は7字(カンマも1字)
- ISO9001 は7字
つまり、全角と半角の使い分けは字数対策にはならないということです。半角に直せば入るだろうという見込みは成立しません。読みやすさの観点で決めてよく、どちらを選んでも枠の消費量は同じです。
一方で、数値と単位を多用する業務ほど字数を圧迫することは事実です。「延長1,250m、幅員12.0m、施工期間18か月」のような記述は、それだけで30字近く消えます。数値を残すか文章を残すかの選択が、実際の削減作業の中心になります。
なお、改行や空白の扱いについて記入要領に明記はありません。カウントの解釈で不利にならないよう、余白や空行を作らず詰めて書くほうが安全です。
「図表は不可」の範囲
枠内に書けるのは文字だけです。図はもちろん、表組みも使えません。実務では、次のような書き方も図表に近づくため避けたほうが安全です。
- 罫線や記号で作った疑似的な表
- 「A→B→C」のようにフローを矢印で並べた記述
- 数式を上下2段に組んだもの
- 箇条書きの記号を多用して視覚的に構造を作る書き方
フローや比較は、文で書きます。「AからBを経てCに至る」「Aは施工性に難があり、Bはコストが過大となるため、Cを採用した」といった形です。文にすると字数は増えますが、要領に反した記載で不利になるリスクは避けられます。
数え方の実務
記入要領は、字数を数える道具を指定していません。郵送・WEB申請のいずれであっても、提出前に自分で720字以内であることを確認する責任は受験者側にあります。
注意したいのは、エディタやワープロの文字数カウント機能が、改行や空白の扱いを製品ごとに違うやり方で処理する点です。ある道具では720字と表示され、別の道具では超過と表示される、ということが起こります。安全側に寄せるなら、改行と空白を含まない一続きの本文で数え、そのうえで数字に余裕(たとえば710字程度)を持たせておくのが実務的です。
720字を超えたとき、どこから削るか
削る順序には優先度があります。上から順に落としていきます。
| 優先度 | 削る対象 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | 一般論・業界の背景説明 | 試験官は同じ技術部門の技術士。共有知識の説明は不要 |
| 2 | 経緯・時系列の接続語 | 「まず」「次に」「その後」は情報量を持たない |
| 3 | 自分の判断でない記述 | 他者が決めたことは自分の能力の証明にならない |
| 4 | 修飾語・二重表現 | 「非常に」「大幅に」は定量表現に置き換えれば消える |
| 5 | 設備・製品の長い正式名称 | 一般名詞に置き換えても技術的内容は伝わる |
逆に、残すべきものは次の4つです。ここを削ると、720字そのものの価値が落ちます。
- 自分が下した技術的判断と、その理由
- 制約条件(なぜ他の選択肢を採らなかったかの根拠になる)
- 定量的な成果
- 自分の立場と責任範囲
削減作業でよくある失敗は、字数に追われて技術的内容及び課題の部分を削り、目的と背景だけが残ってしまうことです。そうなると、口頭試験で深掘りする材料が紙面に残りません。削る方向は常に「背景を削って判断を残す」です。
言い換えで縮める
同じ内容のまま字数だけを落とせる書き換えがあります。
| 元の表現 | 言い換え |
|---|---|
| することが可能となった(11字) | できた(3字) |
| を行うこととした(8字) | した(2字) |
| において(4字) | で(1字) |
| という問題が生じていた(11字) | が課題であった(7字) |
| に関する検討を実施し(10字) | を検討し(4字) |
| 非常に大きな効果が得られた(13字) | 具体的な数値に置き換える |
「実施した」「行った」「対応した」といった動詞の空回りは、まとめて洗い出すと20〜40字程度は回収できます。まずこの機械的な書き換えを一巡させてから、内容を削るかどうかを判断してください。順序を逆にすると、削らなくてよかった内容まで落とすことになります。
提出後は加筆・訂正できない
受験申込み案内のⅥ.受験申込み後の注意事項には、次のとおり書かれています。
受験申込書提出後は、技術部門 ・ 選択科目・専門とする事項 ・「併願」扱いの変更は理由のいかんにかかわらずできません。また、業務経歴 ・ 業務内容の詳細の加筆・訂正もできません。 ☆ 受験申込書を提出する前に、記載内容に誤りがないか必ず確認してください。
字数が超過した状態、あるいは削りすぎて判断の根拠が消えた状態のまま提出すると、それが12月以降の口頭試験まで残ります。受験申込みの受付期間は郵送が令和8年4月1日(水)から4月15日(水)まで、WEB受付が4月1日(水) 9:00から4月14日(火) 17:00までです。締切間際に字数調整を始めると選択の余地がなくなるため、削減作業まで含めて逆算した日程を組んでおくことをおすすめします。
4つの要素に何を書くかという構成側の話は業務内容の詳細(720字)の構成、この720字が口頭試験でどう使われるかは口頭試験の冒頭「経歴と業務内容の詳細を3分で」、口頭試験の試問事項と配点は技術士二次 口頭試験の試問事項と配点(令和8年度)で扱っています。