技術士第二次試験(総合技術監理部門を除く)の答案用紙はA4片面刷で、1枚が「24字×25行=600字」です。1日で書く枚数は必須科目Ⅰが3枚、選択科目Ⅱ-1が1枚、Ⅱ-2が2枚、Ⅲが3枚の合計9枚=5,400字。枚数は問題冊子の1行目に指定されており、これを超えた答案は受験申込み案内の定めにより「失格」として採点の対象から除外されます。
この記事は、初めて技術士第二次試験を受ける人と、過去問で答案構成を練習していて1枚あたりにどこまで書けるかを決めたい人に向けたものです。答案の書き方の作法やテクニックではなく、公式が文書で定めている枚数・字数・マス目・失格事由だけを扱います。
根拠は、日本技術士会が公表している令和8年度の受験申込み案内と、同会が公表している建設部門の試験問題の原文です。枚数指定と答案用紙の色については、令和元年度から令和8年度までの建設部門の公表問題96冊の転記を数えた結果を載せています。模範解答や解答例は載せません。
答案用紙1枚は600字 — 受験申込み案内が定めているマス目の規定
まず、公式が文書で定めている答案用紙の仕様を確認します。受験申込み案内のⅦ章「筆記試験当日の注意事項等」の「5.採点に際しての取り扱い」に、次の3項目が書かれています。
(1)次の場合は、「失格」とし、全ての答案を採点の対象から除外します。 ① 受験すべき試験科目を1科目でも欠席した場合 ② いずれかの試験科目で途中退席した場合 ③ いずれかの試験科目の答案を提出しなかった場合 ④ 受験番号・問題番号について未記入、誤記入又は不明確な答案を提出した場合 ⑤ 受験番号のマークもれやマークミスがある場合(総合技術監理部門のみ) ⑥ 指定された問題数を超えて解答した答案を提出した場合 ⑦ 指定された解答枚数を超えて解答した答案を提出した場合 ⑧ 縦書きの答案を提出した場合 ⑨ 試験問題に明記されている指示どおりに解答していない答案を提出した場合 (2)答案用紙の解答欄の枠内に記載した解答のみ採点対象とします。 (3)答案用紙は、A4版、片面のみ24 字×25 行の計600 字詰めです。 原則として1マス1文字として解答してください。 なお、英字・数字は1マス2文字を目安としてください。図表を用いて解答する場合も問題に特段の指示がある場合を除き同様とします。 マスを無視した解答は、減点対象となる場合があります。
ここから確定する事項を整理します。
| 項目 | 案内の定め | 外したときの扱い |
|---|---|---|
| 用紙 | A4版・片面のみ・24字×25行の計600字詰め | — |
| 文字 | 「原則として1マス1文字として解答してください」 | 「マスを無視した解答は、減点対象となる場合があります」 |
| 英字・数字 | 「英字・数字は1マス2文字を目安としてください」 | 同上 |
| 図表 | 問題に特段の指示がある場合を除き文字と同様(マス目に従う) | 同上 |
| 記載範囲 | 「答案用紙の解答欄の枠内に記載した解答のみ採点対象とします」 | 枠外は採点されない |
| 枚数 | 問題冊子の指定に従う | 「指定された解答枚数を超えて解答した答案を提出した場合」は失格 |
| 書字方向 | 横書き | 「縦書きの答案を提出した場合」は失格 |
注意すべき差は、マス目の無視は減点対象となる場合があるという扱いで、枚数超過と縦書きは「失格」という点です。前者は答案の中の減点で済み得ますが、後者はその日の全ての答案が採点対象から外れます。9つの失格事由のうち⑥⑦⑧⑨の4つは、答案の内容ではなく形式に関するものです。
図表を使う場合もマス目に従うという規定は見落とされやすい箇所です。600字詰めのマス目の上に自由な大きさの図を置いてよいとは書かれていません。
令和8年度は何枚書くのか — 科目別の枚数・字数・配点
枚数は受験申込み案内ではなく、試験当日に配られる問題冊子の冒頭に書かれています。令和8年度 建設部門の必須科目Ⅰの冊子は次のように指定しています。
Ⅰ 次の2問題(Ⅰ-1,Ⅰ-2)のうち1問題を選び解答せよ。(解答問題番号を明記し,答案用紙3枚を用いてまとめよ。)
選択科目の冊子(例として道路)は、Ⅱ-1・Ⅱ-2・Ⅲでそれぞれ枚数と用紙の色を指定しています。
Ⅱ 次の2問題(Ⅱ-1,Ⅱ-2)について解答せよ。(問題ごとに答案用紙を替えること。) Ⅱ-1 次の4設問(Ⅱ-1-1~Ⅱ-1-4)のうち1設問を選び解答せよ。(緑色の答案用紙に解答設問番号を明記し,答案用紙1枚にまとめよ。) (中略) Ⅱ-2 次の2設問(Ⅱ-2-1,Ⅱ-2-2)のうち1設問を選び解答せよ。(青色の答案用紙に解答設問番号を明記し,答案用紙2枚を用いてまとめよ。) (中略) Ⅲ 次の2問題(Ⅲ-1,Ⅲ-2)のうち1問題を選び解答せよ。(赤色の答案用紙に解答問題番号を明記し,答案用紙3枚を用いてまとめよ。)
以上をまとめると、1日で使う答案用紙は次のとおりです。字数は600字×枚数、配点と解答時間は受験申込み案内の科目表によります。
| 試験科目 | 選択方式 | 枚数 | 字数 | 用紙の色 | 配点 | 解答時間 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 必須科目Ⅰ | 2問題から1問題 | 3枚 | 1,800字 | 冊子に色の指定なし | 40点 | 2時間(10:00〜12:00) |
| 選択科目Ⅱ-1 | 4設問から1設問 | 1枚 | 600字 | 緑色 | 10点 | 3時間30分(13:00〜16:30)でⅡ・Ⅲを解答 |
| 選択科目Ⅱ-2 | 2設問から1設問 | 2枚 | 1,200字 | 青色 | 20点 | 同上 |
| 選択科目Ⅲ | 2問題から1問題 | 3枚 | 1,800字 | 赤色 | 30点 | 同上 |
| 合計 | — | 9枚 | 5,400字 | — | 100点 | 5時間30分 |
Ⅱ-1とⅡ-2は同じ選択科目Ⅱの冊子に入っていますが、冒頭に「問題ごとに答案用紙を替えること」と書かれており、用紙の色も緑色と青色に分かれています。科目構成と配点の全体像は技術士二次試験の科目構成と配点(Ⅰ40点・Ⅱ30点・Ⅲ30点)と合否決定基準にまとめています。
枚数の指定は令和2年度に変わった — 96冊を数えた結果
過去問を古い年度から解く人が最初に突き当たるのが、枚数指定の表現の違いです。令和元年度の問題冊子は次のように書いています。
Ⅱ-1 次の4設問(Ⅱ-1-1~Ⅱ-1-4)のうち1設問を選び解答せよ。(解答設問番号を明記し,答案用紙1枚以内にまとめよ。) (中略) Ⅲ 次の2問題(Ⅲ-1,Ⅲ-2)のうち1問題を選び解答せよ。(解答問題番号を明記し,答案用紙3枚以内にまとめよ。)
令和2年度の同じ科目では、表現が変わり、用紙の色の指定が加わりました。
Ⅱ-1 次の4設問(Ⅱ-1-1~Ⅱ-1-4)のうち1設問を選び解答せよ。(緑色の答案用紙に解答設問番号を明記し,答案用紙1枚にまとめよ。) (中略) Ⅲ 次の2問題(Ⅲ-1,Ⅲ-2)のうち1問題を選び解答せよ。(赤色の答案用紙に解答問題番号を明記し,答案用紙3枚を用いてまとめよ。)
令和元年度(12冊すべて)
令和2年度以降(各年度12冊)
建設部門の公表問題を令和元年度から令和8年度まで12冊×8年度=96冊分そろえて数えると、次のようになります。
| 対象 | 枚数を「以内」で指定した冊子 | 緑色の用紙を指定した冊子 |
|---|---|---|
| 令和元年度(12冊) | 12冊 | 0冊 |
| 令和2年度(12冊) | 0冊 | 11冊 |
| 令和8年度(12冊) | 0冊 | 11冊 |
| 令和2〜8年度(84冊) | 0冊 | 各年度11冊 |
令和2年度以降で11冊にとどまるのは、色を指定しているのが選択科目の冊子(11科目分)だけで、必須科目Ⅰの冊子には色の指定がないためです。建設部門の選択科目11科目の区分は建設部門の選択科目11科目一覧で扱っています。
読み取れる事実は2つです。1つは、令和元年度の「以内」が上限の指定だったのに対し、令和2年度以降の「3枚を用いて」は3枚を使うことを前提にした表現に変わっていること。もう1つは、令和2年度以降7年間、この表現も色の割り当ても一度も変わっていないことです。設問の主題や小問の問い方は年度ごとに動いていますが、答案用紙の枚数と色は動いていません。令和8年度の必須科目Ⅰの設問がどう変わったかは令和8年度 建設部門 必須科目Ⅰ(Ⅰ-1・Ⅰ-2)の設問の要求事項にまとめています。
9枚・5,400字をどう埋めるかを決める順序
字数の配分は公表されていません。決められるのは、設問が要求している要素の数から逆算することだけです。過去問を使うときの順序は次のようになります。
- 問題冊子の1行目で枚数を確認する。 令和8年度は必須Ⅰが3枚、Ⅱ-1が1枚、Ⅱ-2が2枚、Ⅲが3枚。「指定された解答枚数を超えて解答した答案を提出した場合」は失格です。
- 小問の数で1枚あたりの担当範囲を決める。 必須科目Ⅰは(1)〜(4)の4小問で3枚(1,800字)。単純に等分すれば1小問450字ですが、(1)は観点と技術課題を3組書くため、そのままでは足りません。
- 要素数が最も多い小問から字数を確保する。 数の指定がある小問(3つ・複数・2つの観点)は削れません。数の指定がない小問で調整します。
- 図表を使うかどうかを字数として計算する。 図表もマス目に従うため、図を1つ置けばその分の文字数が消えます。600字詰めの何マスを使うかを先に見積もります。
- 書き出す前に受験番号と問題番号を書く。 「受験番号・問題番号について未記入、誤記入又は不明確な答案を提出した場合」は失格事由です。選択科目は色の違う用紙に解答設問番号・解答問題番号を明記します。
- 試験中に書き方は質問できない前提で臨む。 案内は「試験問題の内容や答案用紙の書き方に関する質問には、一切お答えできません」と定めています。
この6項目は答案の中身の検討ではなく、その前に置く確認工程です。1から5までは問題冊子と案内の原文だけで機械的に決まります。
答案用紙まわりで当日に確認すること
答案用紙に書くための道具も案内が指定しています。貸与はありません。
(2)筆記用具(一切貸与しません。) ① 黒鉛筆又はシャープペンシル(HB以上の濃さ、ボールペンは使用不可) ② 消しゴム(電動は不可) ③ 鉛筆削り(電動式・大型のもの・ナイフ類は不可) ④ シャープペンシルの芯ケース (*) 透明な直定規(長さ30cm程度まで)は使用できますので必要であれば持参してください。
ボールペンは使用不可で、鉛筆またはシャープペンシルはHB以上の濃さと指定されています。図表を書くための「透明な直定規(長さ30cm程度まで)は使用できます」が、これは持参が任意の道具です。
当日の答案用紙の扱いについては、次の3点が案内に書かれています。
- 「試験問題及び答案用紙の交換は、落丁・印刷不鮮明以外応じません」— 書き損じによる交換はできません
- 「試験終了後は、必ず答案用紙のみ所定の箱に投函してください」— 試験問題のほうは持ち帰ることができます
- 「採点結果の内容(答案用紙の開示を含む)に関する問合せには、一切応じません」— 提出した答案は返ってきません
通常の用紙で受験することが難しい場合は、特別措置に関する申出書に「拡大答案用紙の提供」(B4サイズ)の項目があります。特別措置は受験申込みの段階で申請する仕組みで、当日の申出では間に合いません。
答案が返らないからこそ、筆記直後にやること
提出した答案用紙は返却されず、採点結果の内容は答案用紙の開示を含めて問合せに応じないと定められています。9枚に何を書いたかを確認できる資料は、受験者自身の記憶だけです。
令和8年度の筆記試験合格発表は11月上旬(11月4日(水)予定)、その後、令和8年12月上旬から令和9年1月中旬にかけて口頭試験が実施されます。口頭試験は筆記試験における記述式問題の答案及び業務経歴を踏まえて実施されると定められており、答案の内容は試験官の手元にある材料の一部になります。つまり、答案の再現メモは筆記直後にしか作れないのに、使うのは数か月後という構造です。
発表から本番までの逆算は筆記合格発表(11月4日予定)から口頭試験まで、試問事項と配点の構造は口頭試験の試問事項と配点(令和8年度)にまとめています。
まとめ:次に取る3つの行動
- 過去問を解くときは、24字×25行のマス目の用紙で書く。 「原則として1マス1文字として解答してください」「英字・数字は1マス2文字を目安としてください」という規定があるため、白紙やルーズリーフで練習すると1枚に入る分量の感覚がずれます。図表もマス目に従います。
- 古い年度の過去問は、枚数指定の表現を確認してから解く。 令和元年度は12冊すべてが「以内」の表記で、上限の指定でした。令和2年度以降の型で解くなら、枚数を「3枚を用いて」に読み替えてから始めます。
- 失格事由の⑥⑦⑧⑨を、答案の内容とは別のチェック項目として持つ。 問題数の超過・枚数の超過・縦書き・指示どおりでない解答は、内容の出来にかかわらず全答案が採点対象から外れます。試験中に書き方は質問できません。