試問事項④「継続研さん」は配点20点、合否決定基準は60%以上の得点です。4項目の中で最も対策が後回しにされやすい項目ですが、落とせば他が満点でも不合格になります。

そして令和8年度は、この項目のコンピテンシー定義が4項目の中で最も大きく書き換わった年でもあります。

定義がどう変わったか

受験申込み案内の新旧対照表で、継続研さんの新旧を並べると次のようになります。

改訂前

業務履行上必要な知見を深め,技術を修得し資質向上を図るように,十分な継続研さん(CPD)を行うこと。

改訂後(令和8年度試験から適用)

CPD活動を行い,コンピテンシーを維持・向上させ,新しい技術とともに絶えず変化し続ける仕事の性質に適応する能力を高めること。

一文まるごと差し替わっています。変化のポイントは3つです。

改訂前の「十分な継続研さん(CPD)を行うこと」という表現なら、時間数や参加実績を挙げれば定義に届きました。改訂後は、その活動が自分のどのコンピテンシーをどう変えたかまで言えて初めて定義に沿った答えになります。他項目を含む改訂の全体像は令和8年度から適用のコンピテンシー改訂— 何が変わったか(4項目)にまとめています。

法令上の位置づけ

継続研さんは試験の項目であると同時に、技術士法上の責務でもあります。第47条の2はこう定めています。

(技術士の資質向上の責務)技術士は、常に、その業務に関して有する知識及び技能の水準を向上させ、その他その資質の向上を図るよう努めなければならない。

「なぜ継続研さんが必要だと考えますか」と問われたとき、この条文を根拠に置けるかどうかで答えの重みが変わります。技術士は名称独占資格であり、登録後も第47条の2の責務を負い続けます。三義務二責務の整理は技術者倫理の口頭試験質問— 三義務二責務・公益確保・コンプライアンスを参照してください。

実際に問われる質問の型

受験動機と将来の活動像がこの項目で問われるのは、「取組姿勢」を測る区分(Ⅱ)に技術者倫理と並んで置かれているためです。

答え方の型: 活動を3層で用意する

活動を1つだけ挙げると、掘り下げられたときに続きません。次の3層で棚卸ししておくと安定します。

  1. 業務に直結する研さん — 講習会、技術基準の改定内容の確認、資格取得、社内技術検討会
  2. 業務の外に開かれた研さん — 学協会への参加、論文・技術報告の発表、他分野の勉強会
  3. 人に伝える活動 — 若手への指導、社内勉強会の講師、後進への技術伝承

3層目は見落とされがちですが、コミュニケーションのコンピテンシー「協働すること」とも接続する強い材料です。

そして各層について、それがどのコンピテンシーの維持・向上に効いたかを一言で言えるようにします。たとえば「改定された基準の講習を受けた」なら専門的学識の更新、「他分野の勉強会に出た」なら多角的な視点を要求される問題解決の強化、という具合です。この紐づけが、改訂後の定義に答える鍵になります。

答え方の型: 「変化への適応」を1つ具体で言う

定義の後半「新しい技術とともに絶えず変化し続ける仕事の性質に適応する能力を高めること」に答えるには、自分の業務環境で何が変わり、それに対して何をしたかを1件用意します。

新しい基準や制度への対応、これまで扱っていなかった技術やツールの導入、担当分野の変化などが該当します。大きな話である必要はありません。重要なのは「変化があった → 研さんした → 業務のやり方が変わった」という因果がつながっていることです。

やってはいけない答え方

準備の手順

  1. 直近2〜3年の研さん活動を、上記の3層に分けて書き出す
  2. 各活動に、維持・向上したコンピテンシーの名称を紐づける
  3. 「変化への適応」の事例を1件選び、変化の内容・行った研さん・業務への反映の3点で整理する
  4. 技術士法第47条の2を、条番号と見出し付きで言えるようにする
  5. 受験動機と、技術士登録後にどう活動したいかを、1〜2分で述べられる形にまとめる

配点と合否決定基準の全体像は技術士第二次試験 口頭試験の試問事項と配点(令和8年度)、筆記合格発表から口頭までの準備の割り振りは筆記合格発表(11/4)から口頭までの準備スケジュールを参照してください。