口頭試験が早く終わっても、延長されても、それ自体は合否と関係ありません。合否を決めるのは4つの試問事項それぞれで60%以上の得点を取ったかどうかだけで、試問時間は合否決定基準に含まれていません。公開されている再現記録で合否が明記されている3本のうち、最も短い17分の記録も、最も長い25分ぐらいの記録も、どちらも合格です。

この記事は、口頭試験を受け終えて「早く終わった」「手応えがない」「延長された」と検索している人に向けて書いています。根拠は、試問時間のルールについては実施大綱と受験申込み案内の原文、実際に何分かかったかについては受験者本人が公開している再現記録11本です。講座の経験則や掲示板の伝聞ではなく、原文と数えられる数字だけを置きます。

試問時間は「20分」で、延長は「受験者の能力を十分確認できるよう」にするためのもの

口頭試験の試問時間は、実施大綱に20分と定められています。延長についての規定は次のとおりです。

③ 試問事項及び試問時間は、次のとおりとする。なお、試問時間を10分程度延長することを可能とするなど受験者の能力を十分確認できるよう留意する。

出典: 令和8年度 技術士第二次試験実施大綱(科学技術・学術審議会 技術士分科会試験部会)

受験申込み案内の試問事項の表にも、試問時間は「20 分(10 分程度延長の場合もあり)」と書かれています。

読み取るべきなのは、延長の目的が「受験者の能力を十分確認できるよう」と書かれていることです。延長は、試験官が受験者の能力を確認しきれていないときに使う手段であって、「不合格にするための追加尋問」でも「合格にするための救済」でもありません。逆に、20分で終わったことについて大綱にも案内にも何の記述もありません。20分は所定の時間であり、所定の時間で終わるのが標準です。

再現記録11本の実時間 — 17分から25分ぐらい、20分前後に集中

当サイトは、SUKIYAKI塾(pejp.net)に公開されている令和元年度〜令和6年度の口頭試験再現記録のうち、本文を読み取れた11本を数えています。所要時間を本人が書いているのは10本で、残り1本は試験の時間枠(11:20〜11:50)だけが書かれていて実時間は分かりません。

年度部門(選択科目)所要時間(本人の記載)試験官合否の記載
令和元年度総合技術監理(建設-施工計画)記載なし(枠は11:20〜11:50)記載なしなし
令和2年度総合技術監理(建設-道路)21分間3名なし
令和3年度総合技術監理(電気電子-電気設備)25分ぐらい3名合格
令和3年度建設(道路)22分2名なし
令和4年度建設(トンネル)約20分2名なし
令和4年度建設(都市及び地方計画)18分程度2名なし
令和5年度建設(道路)18分間2名合格
令和6年度応用理学(地質)20分きっちり3名なし
令和6年度建設(土質及び基礎)約20分(実質18分程度)3名なし
令和6年度建設(道路)20分2名なし
令和6年度総合技術監理(建設-道路)17分間2名合格

10本の分布は、20分未満が3本(17分間/18分間/18分程度)、20分前後が5本(約20分/20分きっちり/20分/約20分(実質18分程度)/21分間)、20分を明確に超えたのが2本(22分/25分ぐらい)です。試験官は2名が6本、3名が4本、明記なしが1本。所要時間は本人の記載で17分から25分ぐらいまでで、「20分きっちり」「約20分」が最も多く、大綱の「20分(10分程度延長の場合もあり)」の範囲に収まっています。

つまり、大半は20分前後で終わり、17〜18分で終わる記録も、22〜25分に延びる記録も、どちらも珍しくありません。 令和4年度(トンネル)の記録では、試験官が冒頭で「時間は20 分程度です」と告げています。令和6年度(地質)の本人は「試験は20 分きっちりで終了したが,体感ではもっとあったように感じた。」と書いており、受験者の体感時間は実時間とずれることも分かります。

合否が明記された3本 — 最短の17分と最長の25分ぐらいがどちらも合格

11本のうち合否が本文に明記されているのは3本で、すべて合格です。その3本の実時間は、17分間・18分間・25分ぐらい。11本の中で最も短い記録と最も長い記録が、どちらも合格が明記された記録です。

25分ぐらいかかった令和3年度(総合技術監理部門)の本人は、次のように書いています。

本人が「かみ合わない」「30分すぎたら合格はない」と感じた延長ありの試験が、合格でした。一方、17分間で終わった令和6年度(総合技術監理部門)の本人は、翌年3月に合格を確認しています。前年に18分間で受けた同じ人の一般部門(建設・道路)の記録も合格です。

短く終わった=不合格、延長された=不合格のどちらも、この3本では成り立ちません。合否が明記されていない8本についても、本人の所感は「淀みなく回答はできた」から「まずい空気」まで幅がありますが、結果は本文からは分かりません。手応えと合否の対応を、公開されている記録から言うことはできません。

合否を決めるのは時間ではなく、4項目それぞれ60%以上

口頭試験の合否決定基準は、4つの試問事項それぞれについて「60%以上の得点」です。時間に関する基準はありません。

技術士としての実務能力 マネジメント、評価 60%以上の得点 コミュニケーション、リーダーシップ 60%以上の得点 技術士としての取組姿勢 技術者倫理 60%以上の得点 継続研さん 60%以上の得点

出典: 令和8年度 技術士第二次試験 受験申込み案内(日本技術士会)Ⅷ章 合否決定基準(総合技術監理部門を除く技術部門・口頭試験)

配点は「マネジメント、評価」と「コミュニケーション、リーダーシップ」が各30点、「技術者倫理」と「継続研さん」が各20点です。つまり合格ラインは総合点ではありません。計算すると、30点の項目は18点、20点の項目は12点が必要です。3項目で満点を取っても、1項目が59%なら不合格になります。

この基準から、時間の長短をどう読むかが決まります。試験官は4項目それぞれについて60%以上かどうかを判断できる材料を集めれば、試問を終えられます。答えが簡潔で材料が早く揃えば短く終わり、材料が足りなければ延長して確認する——大綱の「受験者の能力を十分確認できるよう」はそういう意味です。したがって、早く終わったことは「材料が早く揃った」とも「早々に見切られた」とも読めますし、延長は「足りない項目を確認された」とも「丁寧に見てもらえた」とも読めます。どちらの読みも公式資料からは裏付けられず、記録上は両方に合格例があります。

「口頭試験が早く終わった」「試験官の反応が良かった」といった手応えについて、公式資料に合否との対応を示す記述はありません。合否は各項目60%以上という基準だけで決まります。いわゆる「合格フラグ」にも公式の基準はありません。配点と基準の全体像は技術士第二次試験 口頭試験の試問事項と配点(令和8年度)— 4項目すべて60%の意味にまとめています。

「長く答えすぎた」「かみ合わなかった」は何を意味するか

手応えがない人の記録に共通するのは、時間そのものより「答え方」への後悔です。令和4年度(都市及び地方計画)の本人は「短く1分以内の回答にまとめるつもりで心がけていたものの、実際はあれもこれもと長い回答になってしま」ったと書き、令和6年度(道路)の本人は「所々やや冗長だった点がやや気がかりです」と書いています。

受験申込み案内は「試問の意図を考え簡潔明瞭にご回答ください」と求めています。答えが長くなると、20分の中で試験官が4項目の材料を集める時間が減り、延長で確認されるか、確認しきれないまま終わるかのどちらかになります。手応えのなさが「答えが長すぎて聞かれたことに届いていない」感覚から来ているなら、それは次回への改善点として実在します。ただし、それが60%を下回ったかどうかは別の話で、本人にも試験官にも発表まで分かりません。

実際にどんな質問がどの項目で出るかは技術士 口頭試験で実際に聞かれた質問 — 再現記録11本・180問を令和8年度の試問事項別に数えたで実数を示しています。冒頭の経歴説明を短く組み立てる方法は口頭試験の冒頭「経歴と業務内容の詳細を3分で」— 構成テンプレと時間配分を参照してください。

発表までの期間に何をするか

口頭試験は令和8年12月上旬から令和9年1月中旬に実施され、合否は令和9年3月中旬(3月12日(金)予定)の最終合格発表で分かります。案内には「受験者には、合否を問わず成績を通知します」とあり、「採点結果の内容に関する問合せには、一切応じません」とも書かれています。発表まで、合否を知る手段も、採点内容を聞く手段もありません。

その間にできることは2つです。

  1. 質問と自分の回答を、記憶が薄れないうちに書き出す。 早く終わった・延長されたという印象ではなく、何を聞かれて何を答えたかを試問事項4項目ごとに分けて残しておく
  2. 各項目に材料が届いていたかを自分で見る。 特に配点20点の技術者倫理と継続研さんは、再現記録の一般部門7本で1本あたり3問前後(技術者倫理19問・継続研さん22問)しか聞かれておらず、そこで答えが薄いと12点に届きません

万一不合格だった場合、翌年以降の筆記試験の免除はなく、受験申込書の提出からやり直しになります。その場合に何が起きるか、再受験で何を変えるべきかは技術士 口頭試験で不合格になったら — 翌年の筆記免除は「ありません」(公式FAQ)・口頭の通過率93.1%の算出・再受験で変えるものにまとめています。筆記合格者のうち最終合格に含まれない人は、令和5〜7年度で6〜7%です。

まとめ — 次に取る行動

試問時間は20分で、10分程度の延長は「受験者の能力を十分確認できるよう」にするための規定です。再現記録の実時間は17分から25分ぐらいで20分前後に集中し、合否が明記された3本は最短の17分も最長の25分ぐらいも合格でした。合否を決めるのは各項目60%以上という基準だけで、時間も手応えも基準ではありません。

  1. 時間の長短から合否を推測するのをやめる。公式資料にも記録にも、その対応はありません
  2. 質問と回答を4項目ごとに書き出し、材料が薄かった項目を特定する
  3. 発表(3月12日予定)まで待つ。不合格だった場合の手続きと再受験の考え方は上のリンク先で確認する

口頭試験当日の流れと通知の日程は令和8年度 技術士二次 口頭試験の日程・通知・当日の流れ(12月上旬〜1月中旬)にまとめています。