令和8年度の技術士第二次試験 建設部門 施工計画、施工設備及び積算の選択科目Ⅱ-2は、Ⅱ-2-1が既存地下街に近接する道路下での歩行者用通路の新設工事、Ⅱ-2-2が道路橋りょうのRC床版更新工事を主題としており、どちらも(1)現場条件を踏まえた計画、(2)施工中の想定外の事態を受けた施工計画の再検討、(3)苦情・要望への関係者調整、の3段で書かせる構成です。しかも(2)と(3)は、事態を与える1文を除いて2題とも同じ文で、令和元年度以降の16題で初めて小問の中に①②③の番号が付きました。

この記事は、令和9年度以降に施工計画、施工設備及び積算を選択する人と、令和8年7月の筆記試験を受けて自分の答案を振り返っている人に向けたものです。模範解答や解答例は載せません。載せるのは、設問が「何を書け」と指示しているかの分解と、令和元年度から令和8年度までの施工計画 選択科目Ⅱ-2 16題を並べて数えた出題テーマ・小問の型の推移です。

根拠は日本技術士会が公表している各年度の試験問題と、令和8年度の受験申込み案内の原文だけです。テーマ名は設問文中の語をそのまま使い、予備校の解説やまとめ記事は根拠にしていません。

令和8年度の施工計画 Ⅱ-2 は2設問から1設問・答案用紙2枚

まず出題の指示を確認します。選択科目Ⅱ-2は2設問のうち1設問を選び、青色の答案用紙2枚を用いてまとめる形式です。

 Ⅱ-2 次の2設問(Ⅱ-2-1,Ⅱ-2-2)のうち1設問を選び解答せよ。(青色の答案用紙に解答設問番号を明記し,答案用紙2枚を用いてまとめよ。)

出典: 令和8年度技術士第二次試験問題〔建設部門〕施工計画、施工設備及び積算(選択科目Ⅱ・Ⅲ)(日本技術士会)

答案用紙は1枚600字なので、2枚で1,200字です。選択科目Ⅱ-2の配点は20点、選択科目ⅡとⅢを合わせた解答時間は3時間30分(13:00〜16:30)で、この時間内にⅡの3枚とⅢの3枚の計6枚を書きます。配点と時間の内訳は技術士二次試験の科目構成と配点・合否決定基準、答案用紙そのものの規定は筆記試験の答案用紙 — 600字の規定と合計9枚の使い方にまとめています。令和元年度だけは指示が「答案用紙2枚以内にまとめよ」で、色の指定もありませんでした。

Ⅱ-2-1(既存地下街に近接する歩行者用通路の新設)が指示していること

  Ⅱ-2-1 下の模式図のように,歩行者用通路を新築ビルの開業に合わせて新設する。現場は多数のインフラ埋設物が輻輳する道路下で,既存地下街に近接している。本工事の担当責任者として下記の内容について記述せよ。 (1)本工事の現場条件を踏まえ,適切と考えられる①施工方法を2つ挙げ,②それぞれの施工方法を概説せよ。また,③それぞれの施工方法を採用するために必要な適用条件について,本現場特性を踏まえて述べよ。 (2)施工中に,想定を超えて既設地下街の変位が進行し,現行の施工計画を見直す必要が生じた。施工計画を再検討するために,①トレードオフとなる安全・品質・工程・原価・環境等の施工管理項目を特定し,②その特定した理由を述べよ。また,③それらをどのようにマネジメントするか具体的に述べよ。 (3)遮音壁の設置や低騒音機械の採用等の対策を行っていたにもかかわらず,騒音・振動に関する苦情・要望が複数寄せられた。その内容を推察のうえ,あなたは,①どのような関係者に対して,②いかなる解決策を提示し,③自らが主体となってどのように調整するか述べよ。

出典: 令和8年度技術士第二次試験問題〔建設部門〕施工計画、施工設備及び積算(選択科目Ⅱ・Ⅲ)(日本技術士会)

小問ごとに取り出すと、書くべき要素は3×3の9個です。

小問①②③
(1)施工方法を2つそれぞれの概説それぞれの適用条件(本現場特性を踏まえて)
(2)トレードオフとなる施工管理項目の特定特定した理由どのようにマネジメントするか
(3)どのような関係者に対していかなる解決策を提示し自らが主体となってどのように調整するか

(1)の③は「それぞれの施工方法を採用するために必要な」条件で、2つの施工方法の両方について求められています。(3)の苦情は、遮音壁や低騒音機械の対策を「行っていたにもかかわらず」寄せられたという前提なので、同じ対策を解決策として繰り返すと前提と噛み合いません。

Ⅱ-2-2(道路橋りょうのRC床版更新工事)が指示していること

  Ⅱ-2-2 下の模式図のように,地方都市郊外における4車線幹線道路と交差する道路橋りょう(鋼単純非合成鈑桁橋,橋長35m,幅員10m,2車線,両側歩道)の老朽化に伴い,RC床版更新工事を行うこととなった。本橋りょうを終日全面通行止めのうえ,既設床版のみを撤去し, (中略) (1)本工事の現場条件及び特性を踏まえ,施工計画を立案するうえで重要と考えられる①物理的制約条件と社会環境的制約条件を挙げ,②それぞれの条件がもたらすリスクを説明せよ。また,③それらのリスクを顕在化させないための対応方策をそれぞれ述べよ。 (2)既設床版の撤去を開始したところ,鋼桁上フランジ部の腐食が想定以上に進行していることが判明した。 (中略) (3)通行止めに関する苦情・要望が複数寄せられた。

出典: 令和8年度技術士第二次試験問題〔建設部門〕施工計画、施工設備及び積算(選択科目Ⅱ・Ⅲ)(日本技術士会)

(2)と(3)は、上の引用で示した事態の1文のあとが、Ⅱ-2-1と一字一句同じです。違いが出るのは(1)と、(2)(3)で与えられる事態です。

小問Ⅱ-2-1Ⅱ-2-2
(1)で挙げるもの施工方法を2つ(数の指定あり)物理的制約条件と社会環境的制約条件(数の指定なし)
(1)の後段概説と適用条件条件がもたらすリスクと、顕在化させないための対応方策
(2)の事態既設地下街の変位が想定を超えて進行鋼桁上フランジ部の腐食が想定以上に進行
(3)の苦情・要望騒音・振動通行止め

Ⅱ-2-2の(1)は「それぞれの条件」「それぞれ述べよ」と2回重ねており、物理的制約条件と社会環境的制約条件の両方にリスクと対応方策を対にして書く指定です。

令和8年度で新しく付いたもの — ①②③と「評価しない」の注記

令和8年度の2題は、小問の中の要求を①②③で数え上げ、(3)の末尾に評価の対象外とする記述を名指ししています。どちらも令和元〜7年度の14題にはありませんでした。

なお,単に「丁寧な説明」や「わかりやすく情報提供を行う」といった類の記述は評価しない。

出典: 令和8年度技術士第二次試験問題〔建設部門〕施工計画、施工設備及び積算(選択科目Ⅱ・Ⅲ)(日本技術士会)

この注記は2題の(3)の両方に付いています。(3)の③が「自らが主体となって」調整する方法を求めていることと合わせると、説明や情報提供の姿勢を書くだけでは要求を満たさない、と設問側が明示したことになります。

(2)の「トレードオフとなる安全・品質・工程・原価・環境等の施工管理項目」も、令和8年度が初出です。令和5〜7年度の6題は(2)でPDCAサイクルを問い、令和6・7年度の4題では、是正段階(A)について、検証段階(C)の結果が計画段階(P)の想定から逸脱していたことを前提とする、という条件が付いていました。令和8年度は、逸脱の中身そのもの(地下街の変位・上フランジ部の腐食)を設問が先に与える形に変わっています。

令和5〜7年度の(2)

PDCAサイクルの計画段階で考慮すべき事項と、検証段階・是正段階の具体的方策

令和8年度の(2)

想定外の事態を与えたうえで、トレードオフとなる施工管理項目の特定・理由・マネジメント

答案用紙2枚・1,200字に、9つの要求をどう配分するか

公表問題にも受験申込み案内にも小問ごとの字数指定はありません。判断材料になるのは、受験申込み案内が示している選択科目Ⅱ-2の出題内容と評価項目です。

2.「選択科目」についての応用能力に関するもの (中略) 出題内容 「選択科目」に関係する業務に関し、与えられた条件に合わせて、専門知識や実務経験に基づいて業務遂行手順が説明でき、業務上で留意すべき点や工夫を要する点等についての認識があるかどうかを問う。 (中略) 評価項目 技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)のうち、専門的学識、マネジメント、リーダーシップ、コミュニケーションの各項目

出典: 令和8年度 技術士第二次試験 受験申込み案内(日本技術士会)

評価項目に「マネジメント、リーダーシップ」が入るのは、筆記試験の3つの問題の種類のうち選択科目Ⅱ-2だけです。令和8年度の(2)③は「どのようにマネジメントするか」、(3)③は「自らが主体となってどのように調整するか」と、評価項目の語に近い形で要求を書いています。

配分そのものは受験者に委ねられており、正解の比率は公表されていません。1,200字を3小問で等分すると1問400字、①②③で割ると1要素あたり約130字です。Ⅱ-2-1の(1)は施工方法2つそれぞれに概説と適用条件が要るため、実際には4つの記述が入ります。過去問で答案構成を練習するときは、まず9つの要求を見出しとして書き出し、「それぞれ」が付いて記述が倍になる箇所から字数を確保する順序になります。

令和元〜8年度の施工計画 選択科目Ⅱ-2 は何を出してきたか(16題の一覧)

施工計画の選択科目Ⅱ-2は全年度で2設問から1設問を選ぶ形式なので、8年で16題です。テーマ名は設問文中の語をそのまま使いました。

年度Ⅱ-2-1 の主題Ⅱ-2-2 の主題
令和元年度2車線道路橋の張出し式橋脚3基のコンクリート工の施工計画老朽化した場所打ち鉄筋コンクリートボックスカルバートをプレキャストボックスカルバートに更新する工事の施工計画
令和2年度河川区域内の2車線道路橋の橋脚1基(直接基礎,高さ18m)の建設工事新駅工事(開削工法)の発生土の処分に関する業務
令和3年度幹線街路下のプレキャスト構造の地下通路の新設工事鉄道新線建設(高架構造)の下部工工事
令和4年度大規模宅地造成工事の補強土壁部の施工計画シールドトンネルの発進立坑の異常出水
令和5年度二級河川の護岸整備工事の仮設計画RC桁橋の上部工拡幅部の工事
令和6年度市街地の道路下の開削工事における盤ぶくれ対策地すべりにより孤立した集落の応急対策と応急復旧工事
令和7年度河川を横断する橋梁の新設工事(ニューマチックケーソン基礎)山岳トンネルの掘削ずりの土捨場への盛土
令和8年度既存地下街に近接する歩行者用通路の新設道路橋りょうのRC床版更新工事

主題よりも、小問の型の変わり方のほうがはっきりしています。

年度(2)の問い方(3)の問い方
令和元年度業務を進める手順(留意すべき点,工夫を要する点を含めて)関係者との調整方策
令和2年度業務の手順と、工程・業務を管理する際の留意点調整事項を1つ挙げ、調整方策
令和3年度安全管理(Ⅱ-2-1)/工程管理(Ⅱ-2-2)関係者との調整により決定される施工条件を1つ挙げ、調整方針及び調整方策
令和4年度リスク・手順とマネジメント発揮すべきリーダーシップ
令和5年度リスクを1つ挙げ、PDCAサイクル発揮すべきリーダーシップ(複数の利害関係者を列記)
令和6年度PDCAサイクル(P・C・A)利害関係者及び衝突する利害と、その調整
令和7年度PDCAサイクル(P・C・A)苦情内容を複数想定し、対策案と利害の調整
令和8年度トレードオフとなる施工管理項目の特定・理由・マネジメント苦情・要望の関係者・解決策・自らが主体となった調整

この16題から数えられる事実は4つです。

1つ目は、(3)がほぼ毎年、関係者との調整を問うていることです。問い方は調整方策(令和元〜3年度)→リーダーシップ(令和4・5年度)→利害の調整(令和6年度)→苦情への対応(令和7・8年度)と変わっていますが、16題のうち14題が関係者・利害関係者との調整を明示しています。例外は令和4年度の2題で、(3)は「発揮すべきリーダーシップ」だけを問い、調整の語を使っていません。苦情を与える形は令和7年度と令和8年度の4題です。

2つ目は、(2)の型が2〜3年ごとに入れ替わることです。PDCAサイクルは令和5〜7年度の6題、「マネジメント」の語を小問に使ったのは令和4年度と令和8年度の4題です。

3つ目は、橋脚・橋梁を対象にした題が令和元年度・令和2年度・令和3年度・令和5年度・令和7年度・令和8年度の6題あり、Ⅱ-2-1とⅡ-2-2に3題ずつ分かれていることです。橋梁の題がすべてⅡ-2-2側に出ていた道路の選択科目Ⅱ-2とは、この点が違います。

4つ目は、立場の書き方です。令和3年度の2題は「本工事受注者の担当責任者」、令和4年度は現場責任者、令和6年度Ⅱ-2-2は地すべりの対策責任者で、令和7年度の2題は立場の指定がありません。令和8年度は2題とも「本工事の担当責任者」です。

令和3年度Ⅱ-2-1と令和8年度Ⅱ-2-1は、どちらも地下街に関わる道路下の通路の工事ですが、現場条件の与え方が逆です。

なお,仮設構造物を含む設計の妥当性は確認済であり,工事範囲及びその周辺に地下支障物はないものとする。

出典: 令和3年度技術士第二次試験問題〔建設部門〕施工計画、施工設備及び積算(選択科目Ⅱ・Ⅲ)(日本技術士会)

令和3年度は地下支障物がないと前提を置き、令和8年度は「多数のインフラ埋設物が輻輳する道路下」を条件に加えています。似た主題の過去問を解くときは、除外されていた条件が今回は入っていないかを先に確認する必要があります。次年度に何が出るかは公表されておらず、この推移から出題を予想することはできません。

同じ令和8年度の施工計画 選択科目Ⅲの分解は令和8年度 施工計画 選択科目Ⅲ(Ⅲ-1・Ⅲ-2)の設問の要求事項、他科目のⅡ-2の並びは令和8年度 道路 選択科目Ⅱ-2の設問の要求事項、建設部門の他年度の設問は技術士二次試験 建設部門 過去問 — 令和元〜8年度96冊728設問の索引にあります。

設問から答案を組み立てる手順

過去問を使うときにまずやることは、答案を書くことではなく設問の指示を漏れなく取り出すことです。令和8年度の施工計画Ⅱ-2の2設問を材料にすると、手順は次のようになります。

  1. ①②③を見出しとして9個書き出す。 令和8年度は設問自体が要求を番号で数えています。見出しにない要素を書いても、見出しにある要素が欠ければ要求を満たしません。
  2. 「それぞれ」の付いた要求を倍に数える。 Ⅱ-2-1(1)は施工方法2つ×概説・適用条件、Ⅱ-2-2(1)は2種類の制約条件×リスク・対応方策です。
  3. 状況設定と模式図から現場条件を全部書き出す。 Ⅱ-2-2は鋼単純非合成鈑桁橋・橋長35m・幅員10m・終日全面通行止め・既設床版のみ撤去・鋼コンクリート合成床版を指定しています。(1)の適用条件や制約条件は、ここから引きます。
  4. (2)は事態の1文から、トレードオフの組を選ぶ。 設問は安全・品質・工程・原価・環境「等」と例を挙げており、どれとどれが衝突するかの特定と理由までが要求です。
  5. (3)は苦情・要望の内容を推察してから関係者を決める。 推察は設問の指示です。設問が評価しないと明示した記述の類で③を埋めないよう、自分が主体となる調整行為を具体に書きます。
  6. 古い年度を解くときは、その年の(2)(3)の型を先に確認する。 令和5〜7年度はPDCAサイクル、令和4・5年度の(3)はリーダーシップで、令和8年度の型で解き直すなら読み替えが要ります。

この6項目は、どの年度の選択科目Ⅱ-2でも設問文から機械的に取り出せます。答案の中身を検討する前に置く確認工程です。

筆記のあとに来るもの — 合格発表から口頭試験へ

筆記試験の答案は返却されないため、自分が何を書いたかを再現できるのは記憶が新しいうちだけです。

令和8年度の筆記試験合格発表は11月上旬(11月4日(水)予定)、その後、令和8年12月上旬から令和9年1月中旬にかけて口頭試験が実施されます。受験申込み案内は採点結果の内容について、答案用紙の開示を含めて問合せには一切応じないとしています。11月になってから、施工計画のⅡ-2でどちらの設問を選び、どのトレードオフを特定したかを確認する手段はありません。

口頭試験は筆記試験における記述式問題の答案及び業務経歴を踏まえて実施されると定められており、Ⅱ-2で書いた施工管理項目のマネジメントと関係者との調整は、口頭試験の試問事項であるマネジメント・リーダーシップと同じ領域にあります。発表から本番までの逆算は筆記合格発表(11月4日予定)から口頭試験まで、試問事項と配点の構造は口頭試験の試問事項と配点(令和8年度)にまとめています。発表当日から本番までに何を準備するかは技術士 口頭試験 対策 — 筆記合格発表(11月4日予定)から本番までに公式資料で準備できること全部に順番どおりに並べています。

まとめ:次に取る3つの行動