令和8年度の技術士第二次試験 建設部門 鋼構造及びコンクリートの選択科目Ⅱ-2は、Ⅱ-2-1が現場接合部の施工品質の確保、Ⅱ-2-2が近接目視点検が困難な箇所の点検・調査を主題としており、どちらも(1)調査,検討すべき事項とその内容、(2)手順と留意すべき点・工夫を要する点、(3)関係者との調整方策、の3段で書かせる構成です。Ⅱ-2-1の(2)は令和3年度以降に定着した「手順を列挙して,それぞれの項目ごとに」の形ですが、Ⅱ-2-2の(2)は「前問(1)で解答した箇所において」と(1)に縛りをかけ、「それぞれの段階における」留意点を求める、18題で1題だけの形になりました。

この記事は、令和9年度以降に鋼構造及びコンクリートを選択する人と、令和8年7月の筆記試験を受けて自分の答案を振り返っている人に向けたものです。模範解答や解答例は載せません。載せるのは、設問が「何を書け」と指示しているかの分解と、令和元年度から令和8年度までの鋼構造及びコンクリート 選択科目Ⅱ-2 18題を並べて数えた出題テーマ・小問の型の推移です。

根拠は日本技術士会が公表している各年度の試験問題と、令和8年度の受験申込み案内の原文だけです。テーマ名は設問文中の語をそのまま使い、予備校の解説やまとめ記事は根拠にしていません。

令和8年度の鋼構造及びコンクリート Ⅱ-2 は2設問から1設問・答案用紙2枚

まず出題の指示を確認します。選択科目Ⅱ-2は2設問のうち1設問を選び、青色の答案用紙2枚を用いてまとめる形式です。

 Ⅱ-2 次の2設問(Ⅱ-2-1,Ⅱ-2-2)のうち1設問を選び解答せよ。(青色の答案用紙に解答設問番号を明記し,答案用紙2枚を用いてまとめよ。)

出典: 令和8年度技術士第二次試験問題〔建設部門〕鋼構造及びコンクリート(選択科目Ⅱ・Ⅲ)(日本技術士会)

答案用紙は1枚600字なので、2枚で1,200字です。選択科目Ⅱ-2の配点は20点、選択科目ⅡとⅢを合わせた解答時間は3時間30分(13:00〜16:30)で、この時間内にⅡの3枚とⅢの3枚の計6枚を書きます。配点と時間の内訳は技術士二次試験の科目構成と配点・合否決定基準、答案用紙そのものの規定は筆記試験の答案用紙 — 600字の規定と合計9枚の使い方にまとめています。令和元年度だけは指示が「答案用紙2枚以内にまとめよ」で、色の指定もありませんでした。

Ⅱ-2-1(現場接合部の施工品質の確保)が指示していること

  Ⅱ-2-1 構造物の新設若しくは改築において,工場,又は工場に相当する施設で製作された主要部材を建設現場で接合する場合には,構造物に求められる性能を満たすために,現場接合部の施工品質を確保することが重要である。 (中略) (1)対象とする構造物の現場接合部とその接合方法を1つ挙げ,施工品質を確保するために調査,検討すべき事項とその内容について説明せよ。 (2)業務を進める手順を列挙して,それぞれの項目ごとに留意すべき点,工夫を要する点を述べよ。 (3)業務を効率的,効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

出典: 令和8年度技術士第二次試験問題〔建設部門〕鋼構造及びコンクリート(選択科目Ⅱ・Ⅲ)(日本技術士会)

中略した部分で、立場は「鋼構造物及びコンクリート構造物の設計又は施工計画を担当する技術者」と指定されています。小問ごとに取り出すと次のとおりです。

小問書けと指示されていること数の指定
前提新設若しくは改築で、工場等で製作された主要部材を建設現場で接合する場合なし
(1)対象とする構造物の現場接合部と接合方法、施工品質を確保するために調査,検討すべき事項とその内容接合部と接合方法は1つ
(2)業務を進める手順の列挙と、項目ごとの留意すべき点・工夫を要する点なし(項目ごと)
(3)業務を効率的,効果的に進めるための関係者との調整方策なし

(1)の調査・検討事項には「施工品質を確保するために」という目的が付いています。部材そのものの設計ではなく、現場で接合する工程の品質に焦点がある点が、状況設定の「現場接合部の施工品質を確保することが重要である」と対応しています。

Ⅱ-2-2(点検困難箇所の点検・調査)が指示していること

  Ⅱ-2-2 既設構造物の特性,設置条件によっては近接目視点検が困難な箇所が存在する。 (中略) (1)点検困難箇所が想定される既設構造物の特性及び立地する現地状況等を設定したうえで,点検困難箇所と点検困難である理由を記述し,調査,検討すべき事項とその内容について説明せよ。 (2)前問(1)で解答した箇所において,構造物の点検・調査を実施するために必要な手順を示し,それぞれの段階における留意すべき点,工夫を要する点を述べよ。 (3)点検・調査を効率的,効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

出典: 令和8年度技術士第二次試験問題〔建設部門〕鋼構造及びコンクリート(選択科目Ⅱ・Ⅲ)(日本技術士会)

中略した部分では、点検困難箇所に「耐荷性・耐久性の低下や第三者被害が想定される損傷の発生と進展が懸念される状況」が置かれ、立場は「鋼構造物及びコンクリート構造物の点検・調査を担当する技術者」と指定されています。

小問Ⅱ-2-1Ⅱ-2-2
(1)で先に設定・記述するもの現場接合部と接合方法を1つ構造物の特性と現地状況等の設定+点検困難箇所+点検困難である理由
(2)の手順手順を列挙して、項目ごとに(1)で解答した箇所について手順を示し、段階ごとに
(3)の主語業務を点検・調査を

Ⅱ-2-2の(1)は、調査・検討事項の前に「設定」「箇所」「理由」の3つを置かせています。(2)は「前問(1)で解答した箇所において」なので、(1)で挙げた箇所と別の箇所の手順を書くと要求から外れます。小問が前の小問を名指しで参照する形は、令和元〜8年度の鋼構造及びコンクリートⅡ-2 18題でこの(2)だけです。

答案用紙2枚・1,200字に、3つの小問をどう配分するか

公表問題にも受験申込み案内にも小問ごとの字数指定はありません。判断材料になるのは、受験申込み案内が示している選択科目Ⅱ-2の出題内容と評価項目です。

2.「選択科目」についての応用能力に関するもの (中略) 出題内容 「選択科目」に関係する業務に関し、与えられた条件に合わせて、専門知識や実務経験に基づいて業務遂行手順が説明でき、業務上で留意すべき点や工夫を要する点等についての認識があるかどうかを問う。 (中略) 評価項目 技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)のうち、専門的学識、マネジメント、リーダーシップ、コミュニケーションの各項目

出典: 令和8年度 技術士第二次試験 受験申込み案内(日本技術士会)

評価項目に「マネジメント、リーダーシップ」が入るのは、筆記試験の3つの問題の種類のうち選択科目Ⅱ-2だけです。(2)が出題内容の「業務遂行手順」「留意すべき点や工夫を要する点」を、(3)が関係者との調整を受け持つ構成は、令和8年度の2題とも同じです。

配分そのものは受験者に委ねられており、正解の比率は公表されていません。1,200字を3小問で等分すると1問400字です。ただし(2)は手順の項目(Ⅱ-2-2では段階)の数だけ留意点・工夫点の組が増えるので、記述の単位が最も多くなりやすい小問です。Ⅱ-2-2を選んだ場合は、(1)にも設定・箇所・理由・調査検討事項の4つの要素が入ります。過去問で答案構成を練習するときは、まず要素の数を小問ごとに数え、多い小問から字数を確保する順序になります。

令和元〜8年度の鋼構造及びコンクリート 選択科目Ⅱ-2 は何を出してきたか(18題の一覧)

この科目は令和元年度だけ4設問(鋼構造のAグループ2設問・コンクリートのBグループ2設問)、令和2年度以降は各年度2設問なので、8年で18題です。テーマ名は設問文中の語をそのまま使いました。

年度番号出題テーマ(設問文中の語)
令和元年度Ⅱ-2-1(A)良質な社会資本を効率的に整備するための技術開発
令和元年度Ⅱ-2-2(A)鋼構造物の品質や精度に関わる重大不適合の再発防止策
令和元年度Ⅱ-2-3(B)錆汁を伴うひび割れが見つかった鉄筋コンクリート構造物の補修計画の策定
令和元年度Ⅱ-2-4(B)重要構造物に対する耐震補強(震災後の機能確保の観点)
令和2年度Ⅱ-2-1厳しい施工上の制約条件の下での構造物の新設プロジェクト
令和2年度Ⅱ-2-2既設構造物を使用しながらの改築・増築,又は補修・補強
令和3年度Ⅱ-2-1接合部又は打継ぎ部の不具合の再発防止
令和3年度Ⅱ-2-2老朽化が進んだ構造物に対する耐震補強
令和4年度Ⅱ-2-1技術的工夫による工期短縮
令和4年度Ⅱ-2-2突発的な作用による変状を受けた構造物の部材の再利用を想定した調査
令和5年度Ⅱ-2-1超過外力に対する冗長性の確保や災害後の復旧性
令和5年度Ⅱ-2-2点検困難部の損傷程度の推定
令和6年度Ⅱ-2-1施工計画の前提となる条件の変更と施工時における構造物の安全性
令和6年度Ⅱ-2-2既設部の施工の不具合や設計との不整合
令和7年度Ⅱ-2-1構造物の耐久性の確保
令和7年度Ⅱ-2-2大規模地震により損傷した構造物の恒久的な復旧計画
令和8年度Ⅱ-2-1現場接合部の施工品質の確保
令和8年度Ⅱ-2-2点検困難箇所の点検・調査

主題と並べて、小問の型の変わり方を見ます。

年度(1)の問い方(2)の問い方立場
令和元年度調査,検討すべき事項とその内容(4題)手順について、留意すべき点,工夫を要する点を含めて担当責任者(4題)
令和2年度調査,検討すべき事項とその内容留意点・工夫点を含めて業務を進める手順鋼構造あるいはコンクリートの技術に関わる担当責任者
令和3年度調査,検討すべき事項とその内容手順を列挙して,それぞれの項目ごとに(Ⅱ-2-1)/含めて(Ⅱ-2-2)担当責任者
令和4年度調査,検討すべき事項とその内容手順を列挙して,それぞれの項目ごとに技術者(Ⅱ-2-1)/担当責任者(Ⅱ-2-2)
令和5年度調査,構造検討すべき事項とその技術的内容(Ⅱ-2-1)/調査,検討すべき事項とその内容(Ⅱ-2-2)手順を列挙して,それぞれの項目ごとに技術者(Ⅱ-2-1)/担当責任者(Ⅱ-2-2)
令和6年度事項を複数挙げ(Ⅱ-2-1)/調査すべき事項と検討すべき事項(Ⅱ-2-2)手順を列挙して,それぞれの項目ごとに技術者
令和7年度調査,検討すべき事項とその内容手順を列挙して,それぞれの項目ごとに技術者(Ⅱ-2-1)/担当責任者(Ⅱ-2-2)
令和8年度調査,検討すべき事項とその内容手順を列挙して,それぞれの項目ごとに(Ⅱ-2-1)/手順を示し,それぞれの段階における(Ⅱ-2-2)技術者

この18題から数えられる事実は4つです。

1つ目は、(1)と(3)の骨格が18題すべてで同じことです。(1)は18題すべてが調査・検討すべき事項を問い、資料や情報の収集を問う型は一度も出ていません(河川のⅡ-2では令和3〜6年度の8題がその型でした)。「調査,検討すべき事項とその内容」の語どおりの形は15題で、崩れたのは令和5年度Ⅱ-2-1と令和6年度の2題の計3題です。(3)も18題すべてが「関係者との調整方策」で、違いは「効率的・効果的」の中黒(令和元年度Bグループの2題)、「上記業務を」(令和3年度Ⅱ-2-1・令和6年度Ⅱ-2-2)、「点検・調査を」(令和8年度Ⅱ-2-2)の語だけです。

2つ目は、(2)の型が令和3年度から入れ替わったことです。「手順を列挙して,それぞれの項目ごとに」の形は令和3年度Ⅱ-2-1で初めて現れ、令和4〜7年度の8題と令和8年度Ⅱ-2-1を合わせて10題です。「留意すべき点,工夫を要する点を含めて」手順を述べる形は令和元・2年度の6題と令和3年度Ⅱ-2-2の7題で、令和4年度以降は出ていません。残る1題が令和8年度Ⅱ-2-2の「手順を示し,それぞれの段階における」です。

3つ目は、令和2〜8年度のⅡ-2-2 7題がすべて既設または損傷・変状を受けた構造物を対象にしていることです。既設構造物の改築・補修(令和2年度)、老朽化した構造物の耐震補強(令和3年度)、突発的な作用による変状(令和4年度)、点検困難部(令和5年度)、既設部の不具合(令和6年度)、地震による損傷の復旧(令和7年度)、点検困難箇所(令和8年度)です。同じ期間のⅡ-2-1 7題は、新設・建設中・設計・施工計画など構造物をつくる段階を状況設定に含んでいます(令和5年度と令和7年度は既設構造物も対象に含めています)。

4つ目は、立場の指定が「担当責任者」から「技術者」へ移ってきたことです。18題のうち「担当責任者」は11題、「担当する技術者」「検討する技術者」は7題です。Ⅱ-2-1は令和4年度から令和8年度まで5年続けて技術者、Ⅱ-2-2で技術者だったのは令和6年度と令和8年度の2題で、2題とも技術者になった年度は令和6年度と令和8年度です。

主題の重なりもあります。点検困難は令和5年度Ⅱ-2-2と令和8年度Ⅱ-2-2、接合部は令和3年度Ⅱ-2-1と令和8年度Ⅱ-2-1で、令和8年度の2題はどちらも過去に同じ番号で出た主題です。ただし問いの中身は同じではありません。

  Ⅱ-2-2 老朽化した地上構造物の健全性を評価するに当たり,点検困難部の損傷程度を推定することになった。

出典: 令和5年度技術士第二次試験問題〔建設部門〕鋼構造及びコンクリート(選択科目Ⅱ・Ⅲ)(日本技術士会)

令和5年度は損傷程度を「推定」して健全性を評価する業務で、点検困難部の定義(狭隘部・密閉部・不可視部)も設問が与えていました。令和8年度は点検困難箇所とその理由を受験者が設定し、その箇所の点検・調査の手順を書かせています。令和3年度Ⅱ-2-1は建設中に見つかった接合部の不具合の再発防止で、令和8年度Ⅱ-2-1は不具合が起きる前の施工品質の確保です。地震を主題にした題は令和元年度Ⅱ-2-4・令和3年度Ⅱ-2-2・令和7年度Ⅱ-2-2の3題で、令和4年度Ⅱ-2-2は突発的な作用から「設計で考慮している地震等は除く」と明記していました。次年度に何が出るかは公表されておらず、この推移から出題を予想することはできません。

同じ令和8年度の鋼構造及びコンクリート 選択科目Ⅲの分解は令和8年度 鋼構造及びコンクリート 選択科目Ⅲ(Ⅲ-1・Ⅲ-2)の設問の要求事項、他科目のⅡ-2の並びは令和8年度 道路 選択科目Ⅱ-2の設問の要求事項・令和8年度 施工計画 選択科目Ⅱ-2の設問の要求事項・令和8年度 河川 選択科目Ⅱ-2の設問の要求事項、建設部門の他年度の設問は技術士二次試験 建設部門 過去問 — 令和元〜8年度96冊728設問の索引にあります。

設問から答案を組み立てる手順

過去問を使うときにまずやることは、答案を書くことではなく設問の指示を漏れなく取り出すことです。令和8年度の鋼構造及びコンクリートⅡ-2の2設問を材料にすると、手順は次のようになります。

  1. (1)で先に設定させられるものを確定する。 Ⅱ-2-1は現場接合部と接合方法を1つ、Ⅱ-2-2は構造物の特性・現地状況等・点検困難箇所・点検困難である理由です。ここが曖昧なまま調査事項を書くと、何のための調査かが定まりません。
  2. (1)は「事項」と「その内容」を対にする。 事項名を並べるだけでは「その内容について説明せよ」の後半が欠けます。
  3. (2)の単位を設問の語に合わせる。 Ⅱ-2-1は手順を列挙して「項目ごと」、Ⅱ-2-2は手順を示して「段階における」留意点・工夫点です。留意点を最後にまとめて書くと、どちらの指示の形とも合いません。
  4. Ⅱ-2-2の(2)は(1)の箇所から離れない。 「前問(1)で解答した箇所において」なので、構造物全体の点検手順を一般論で書くと要求とずれます。
  5. (3)は誰と何を調整するかを具体にする。 18題すべてが関係者との調整方策を求めており、関係者の名前だけでは方策になりません。
  6. 古い年度を解くときは、その年の(2)の型と立場を先に確認する。 令和元・2年度と令和3年度Ⅱ-2-2は「含めて」の型、令和元年度はA/Bグループ制で、立場も年度と番号で担当責任者と技術者に分かれます。令和8年度の型で解き直すなら読み替えが要ります。

この6項目は、どの年度の選択科目Ⅱ-2でも設問文から機械的に取り出せます。答案の中身を検討する前に置く確認工程です。

筆記のあとに来るもの — 合格発表から口頭試験へ

筆記試験の答案は返却されないため、自分が何を書いたかを再現できるのは記憶が新しいうちだけです。

令和8年度の筆記試験合格発表は11月上旬(11月4日(水)予定)、その後、令和8年12月上旬から令和9年1月中旬にかけて口頭試験が実施されます。受験申込み案内は採点結果の内容について、答案用紙の開示を含めて問合せには一切応じないとしています。11月になってから、鋼構造及びコンクリートのⅡ-2でどちらの設問を選び、どの接合部や点検困難箇所を設定したかを確認する手段はありません。

口頭試験は筆記試験における記述式問題の答案及び業務経歴を踏まえて実施されると定められており、Ⅱ-2で書いた業務の手順と関係者との調整方策は、口頭試験の試問事項であるマネジメント・リーダーシップと同じ領域にあります。発表から本番までの逆算は筆記合格発表(11月4日予定)から口頭試験まで、試問事項と配点の構造は口頭試験の試問事項と配点(令和8年度)にまとめています。発表当日から本番までに何を準備するかは技術士 口頭試験 対策 — 筆記合格発表(11月4日予定)から本番までに公式資料で準備できること全部に順番どおりに並べています。

まとめ:次に取る3つの行動